LILI LIMIT ディスクレビュー
Introduction
LILI LIMITの作品(アルバム+α)をレビューしていきます
サブスクで聴ける範囲内にとどまるのでご了承ください
曲の評価:
赤字◎→最高
◎→素晴らしい
〇→良い
(無印)→ふつう
△→う~ん
- Introduction
- 『Etudes』(2015年7月)
- 『#apieceofcake』(2016年1月)
- 『a.k.a』(2016年10月)
- 『LAST SUPPER EP』(2017年6月)
- 『LIB EP』(2018年2月)
- 『signal』(2018年4月)
『Etudes』(2015年7月)
- Open
- h.e.w.
- Girls like Chagall 〇
- at good mountain 〇
- Tokyo city club
- in your site
- zine line
ジャケット&タイトル:★★★
総合評価:★★★(3.5/5)
他のレーベルからシングルやアルバムは出ているが、サブスクにあるのはLastrumに移籍して初のアルバムである今作から。オリコン94位。
演奏力もアレンジ技術も高いが、いまいちキラーチューンが打ち出せていない印象。ただ、これを聴いて「これから来る!」という気にさせるという点では、タワレコメンに選出される理由も分かる。
これは良いかな?と思ったのはMVにもなっているM3とM4。シングルにもなったM3もオリコン入り(82位)していて、当時のリスナーの期待感が現れているのだろう。
ちょっとバンドから話はずれるけども、シンセサイザー(orキーボード)がいるロックバンドって10年代にすごく増えた気がして。10年代前半は軽音楽系バンドみたいなのが多かったけど、半ば~後半にかけてより音楽性に厚みが増していった≓ポスト軽音楽系化したのかな、とぼんやり考えていました。その時代の中で、LILI LIMITって邦楽シンセロックの過渡期にいたのかなぁと。同期でいえば雨のパレードもそうなのかな。「キーボード系ロックバンドの系譜」みたいな考察面白そう。
『#apieceofcake』(2016年1月)
- Festa ◎
- Boys eat Noodle 〇
- N_tower 〇
- morning coffee
- seta gaya
- vanilla ice claim 〇
- lycopene
- nnmnd 〇
ジャケット&タイトル:★★★★
総合評価:★★★★(4/5)
Lastrumから2枚目のアルバム。シングルとしてはFestaが表題曲としてリリースされている(オリコン84位)。
M1がまさにバンドのアンセムとして掲げるべきキラーチューン。M2.M3とファンクやプログレのような面白いしレベルの高いアレンジの曲が続く。演奏力の高さは更に磨きがかかっている。また、バンドサウンドだけでなく打ち込み色が強く出た曲もいくつかある。ただ、キャッチーさはM1~M4あたりが抜群な分後半は音を楽しむ感じになっていた。M8は前半の打ち込みからバンドサウンドに変わるところが開放感あって良いが、逆にいえば打ち込みの部分ははっきり微妙である。
前作から自由度を増しつつバージョンアップした一作といえよう。
『a.k.a』(2016年10月)
- A Short Film ◎
- Wink, Blink 〇
- Kitchen ◎
- Observe
- On The Knees 〇
- Suite Room
- Neighborhood 〇
- Space L
- Living Room ◎
- A Few Incisive Mornings
- Space R
- Naked
- Self Portrait 〇
ジャケット&タイトル:★★★★
総合評価:★★★★(4/5)
晴れてメジャーデビューしシングルを経て初のアルバム。現状ラストアルバムとなっている。全体的には、シンセロックに重心を置きつつニューウェイヴ、エレクトロニカも合わせつつJ-POPとしてアプローチされている。都市的な無機質の生活のなかにあるぬくもりを歌っているような世界観だ。
最初からクライマックスのようなM1。M3では2番サビ以降の変調が気持ちいいし、曲自体すごくこのバンドらしいキャッチーさが詰まっている。
ただ、M1.M3.M9が突き抜けていて、他もエレクトロ的に音を楽しめる曲もあるが全体としては物足りないというのが正直なところ。55分もあるアルバムなので…。ただ、圧倒的アンセムのような曲が何曲か生まれていることがこのバンドにとっては非常にプラスになっていたことだろう。
ちなみにオリコン68位、前作と売り上げ枚数もさほど変わらずメジャーとして求められるセールスには届いていないようだった。
『LAST SUPPER EP』(2017年6月)
- LAST SUPPER ◎
- LIKE A HEPBURN 〇
- ERAION
- STREET VIEW
ジャケット&タイトル:★★★★
総合評価:★★★(3.5/5)
メジャーから2作目のEP。
M1が好きすぎた、懐かしい。カラオケでもよく歌ってた。LILI LIMITのMVっていつも無表情だから何だか無機質で冷たく見えるかもしれないけど、歌詞は凄く人間的で生活的なんだよね。そこが好き。
でこのEPはM1が最高M2もそこそこ(タイアップ曲)といった感じ。前作アルバムの延長線上のような音楽性か。オリコン77位。
『LIB EP』(2018年2月)
- COLORS
- GET UP
- ENCLOSE
- FEEL IT 〇
ジャケット&タイトル:★★
総合評価:★★(2.5/5)
3枚目のEP。バンドサウンドがほぼなくなり、打ち込み主体のサウンドへ。それもかなり暗い基調のサウンドで占められている。う~ん、当時初めて聴いた時完全に迷走に入ったなと思ったんだけど、要はこれまでにもあったエレクトロ要素が主役として前に出てきたということか。それを考慮しても、正直あまりピンとこなかった。キャッチーさもPOPさも目新しさもない。これまでの音の立体感だったりLILI LIMITらしさを保っていた音楽性は、バンドサウンドだったのだと逆説的に知らされた。M4はこのなかでも良い方(MVもある)。
『signal』(2018年4月)
- signal 〇
ジャケット&タイトル:★★★
総合評価:★★★(3/5)
実質最後の音源。前EPよりは(タイアップということもあってか)全体的に明るい曲調になっている。音楽性はエレクトロポップで前作同様バンドサウンドはない。ポップでいい曲ではあるが、エレクトロポップの曲として聴けばすこし物足りないし、LILI LIMITの曲としてもこれじゃない感は否めない。
私が思うに、バンドで売り上げが芳しくないタイミングで打ち込み主体に転向するパターンってあまり成功例を見ない。既存ファンも離れるし音楽性も中途半端になるしで、最終的に契約解除とか解散に繋がったりする場合が多い。残念ながらLILI LIMITもそうだったようだ。
ちなみに元LILI LIMITのうちの3人は「MO MOMA」というバンドを新たに組んで活動している。こちらでは後期LILI LIMITの音楽性をよりエレクトロ方面に進化させている。